夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

……
………。

「っ…ヴァロン様が、アラン様と…兄弟?」

話を聞いて、レナとレイは呆然としていた。

この事件が誰が起こしたものなのか…。大体二人にも予想はついていたのだろう。
私がある程度話すと必要以上には質問してはこず、自分達の中で今聞いた現実を受け入れようとしている様子で黙り込む。


…しかし。
私の話の後に、付け加えるようにマスターが真剣な面持ちで話し始めた。
それは…。それこそが、全ての答え。


「…ヴァロンに直接刃を向けるのではなく、敵はアカリさんをさらって人質を取った。
…つまり、敵の目的は”復讐”やヴァロンの”命”ではない。」

マスターはそう言うと、私達に見えるように一枚の依頼書をテーブルに置いた。
それは、以前アラン様からヴァロンに届いた指名依頼書。


その時、私はふとおかしいと感じた。
先程の私の話の流れ、そしてこの依頼書を出しておきながら…。
マスターが今回の事件の犯人を”アラン様”ではなく、”敵”と表現している事に…。
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