夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「これでハッキリした。
おそらく、敵の目的は”ヴァロン自身の奪還”。
”マオ”としてのあやつを、自分達のものにするためじゃ。」

「!?っ…これは、ッ…。」

マスターは話しながら、もう一枚の指名依頼書をテーブルに置く。
それは、私も今日初めて見る依頼書で…。思わず目を見開いて固まった。


ずっと疑問だった。

ヴァロンとアラン様が兄弟。
アラン様が妾の子供であるヴァロンを恨んでいる復讐目的ならば…。
何故、”夢を叶えろ”などという回りくどいやり方でヴァロンを傍に置いたり、再び依頼書を送り付けて呼び戻そうとするのか…。
自宅のセキュリティーを落とし、アカリさんを連れ去ったのか…。

直接的にヴァロンを傷付けるよりも、更に深い悲しみを与えるのが目的なのかとも思ったが…。
それならば敵は、アカリさんをその場で殺害する筈。

……。
違った。
そんな、事が目的ではなかった…。
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