夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……うん。
やっぱり、これがいいよな。アカリには…。」
花束にしようかとも悩んだが、俺はたくさん並ぶ赤いバラの中から一輪だけ選んで手に取った。
”たくさんの花束より…。
一輪の方が、なんか特別な感じがする。
バロンが選んでくれた、たった一つだもん。”
昔、そう言って微笑んでくれたアカリの笑顔をもう一度見たい。
俺は明日…。
いや、きっとこれから彼女をたくさん悲しませてしまうから…。
病気の事を話したら、アカリは傷付いて、いっぱい涙を流すと思う。
……でも。
離れたく、ないんだ。
勝手かも知れないけど、彼女が許してくれるなら…。俺は、最期までアカリと居たい。
アカリの笑顔を、ずっと見てたいんだ。
一生一緒に生きてほしい。
そう、彼女にもう一度告白しよう。
逃げたり、怯えたりしないで、今在る幸せを手放したりしないと決めた。