夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
『……私が、誰だか分かるか?』
「…っ、…アラン。」
なぜ奴がこの通信機に連絡を取れたのかは分からないが…。忘れる筈もない響きの、声。
通信相手は、アランだ。
『ほぅ、覚えててくれて嬉しいよ。』
「……。何の用だ?」
以前と変わらない、少し笑いを含んだ奴の声に、早く切ってしまいたい気持ちを抑えて問い掛ける。
すると、アランは飽きれたように『おやおや。』と言って話し続けた。
『”何の用だ?”とは頂けないな。
我が社の依頼をなかなか受けてもらえないから、こうして直々にお願いしようと思ったんじゃないか。』
「?……我が社の、依頼?」
俺には、何の事だかさっぱり分からなかった。
仕事をシュウに選んでもらっている、とは言っても自分へ届く指名依頼書くらいは把握している。
最近届いた指名依頼書のリストに、アランの名前など…なかった。