夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
奴の名前があったら警戒して、見落とす事なんて絶対にしない。
それなのに……。
『とぼけちゃって、酷いよなぁ…。
まあ、貴様はあれだな。みんなに愛されて守られてるから、何も知らないんだろう?』
「…どういう、意味だ?」
”何も知らない。”…?
また、だ。
最後に顔を合わせた時と同じ様な、アランの意味深な言葉が…。俺の胸を騒つかせ始める。
通信機を持つ手が、震える。
『夢の配達人のマスターや、あの補佐の男が間に入ると邪魔だ。
…だから、私はお前と個人的に取り引きしたい。その為に少々、強行手段を取らせてもらったよ。』
「強行、手段…?」
『…今から画像を送る。確認しろ。』
奴の言葉の意味が分からず、問い掛けを呟く事しか出来ない俺。
そんな俺が耳に当てている通信機が、ブブッと揺れた。通信中に、メッセージや画像が受信された報せ。
……。
俺は自分の耳から通信機を離し、ゆっくりと画面を開く。