夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

信じられない位に…。
周りの音が何も聴こえなくて、視覚に全てが集中する。


”早く来ないと、喰われるぞ。”

目に飛び込んでくる、そう書かれたメッセージに添付された画像。


「!!ッ……。」

見た瞬間、呼吸が…止まる。


「っ…え……?ッ…は、…っ。」

何が起こってるのか分からない。
頭が働かない、言葉も出せない。

心が震えて、身体が冷たくなっていくのに汗が流れて…。
決して重くない筈の通信機すら、片手で持てない位に震えて、力が抜けて…。
俺はもう片手で持っていた鞄と白いバラを地面に落とすと、両手で通信機を握り締めた。


俺の震える両手で持たれた、通信機の画面に映るのは…。

目隠しをされ、さるぐつわを咬まされ、両手両足を縛られて自由を奪われている…。

アカリの姿。

……。

これは、何だ?
俺は何か…悪い夢でも、見ているのか?

……。

アカリ…?ッ…アカ、リ…。


「…っ……わ、んな…。」

口が、俺の意志なのか分からないけど…動く。
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