夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

『クククッ…。それは、お前次第だ。』

片手で頭を押さえてうずくまる俺に、通信機の向こうから嘲笑うアランの声が響く。


『これから送る場所に24時間以内に来い。
依頼書にサインをして、お前一人で、だ。』

……。
そこからは、もう頭の中なんて…空っぽだった。
道端でうずくまる俺に声を掛けてくれる人なんて、邪魔にしか思えなくて…。
まるで奴に洗脳されたみたいに、聴こえるのはアランの声だけで…。


『もし、可笑しな真似をしてみろ。
お前の大切な女、もうお前の元へなんて帰れない程の辱めを受けさせてやる。』

アランの笑い声と共に、ブツッと切れる通信機。

……。
もう、何も考えられなかった。

アカリを助ける。
それだけしか、俺にはなかった。

……。
無意識に俺の瞳から流れていた涙が、地面に落ちた瞬間。

俺は通信機と鞄を掴んで、駆け出した。
足元に落ちていた白いバラには見向きもせず、俺は踏み潰して、走った…。

……
………。
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