夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

”…なんで、あんたなのよ!”
”あんたなんか、生まなきゃよかった…!!”

笑顔の僕に、母さんが泣きながら言った。

……。
それでも、いつか笑ってくれると思った。


”…行きなさい、ヴァロン。”

母さんが初めて僕に微笑んだのは、別れの時。
目の前に積まれた札束と、僕を引き換えにした時。

……。

涙も、笑顔も、いらない。

もう、何も…いらない。

そう、思ったのに…。
なんで忘れてたんだろう?

こんなに大切な事を、何で忘れてたんだろう。

……。
あの日、奪われた大切なもの。
その瞬間から、全てが崩れた。

奪い返す為に必要なものは、自分自身の力しかなかったのに…。


……そう。
甘えも、優しさも、いらない。

他人の力なんて、いらない。

……
………。
< 237 / 402 >

この作品をシェア

pagetop