夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「!…ヴァロン?どうしたっ?」
「っ……放せっ…!」
片手で頭を押さえて、顔をしかめる俺を支えようとしてくれたマスターの手を振り解くと、床に置いていた自分の鞄を掴む。
アカリを助ける。
痛み続ける頭の中で、今ハッキリ考えられるのはそれだけだった。
依頼書を鞄に詰め込んで、部屋を飛び出そうとした時…。
「っ…待って下さい!ヴァロンッ…!!」
背中に抱き付く様にして、シュウが身体全体で俺を引き止めた。
「行っては駄目ですッ…!一人で行っては危険です!!」
必死な声が背中から響く。
分かってる。
シュウは、俺を心から心配してくれていた。
俺が首を絞めた時も…。
俺を殴る事も、蹴る事もせずに、そのままでいてくれたよな?
苦しかっただろうに…。
今も、少し咳き込みながらも、俺に語りかけてくれている。