夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「……っ…付いてくるな。
いいな?絶対来るんじゃ、ねぇぞ…っ。」

必死に冷静を装おうとしたが、声が震える。
早くこの場を去ろうと背を向けると…。


「あ〜!…ぱ〜。っ…ぱぁ〜!」

ヒナタが、俺の背中に向かって…叫んだ。

”あ〜”なのか、”ぱ〜”なのか、”ぱぱ”って、言ってんのかは分からないけど…。
間違いなく、俺を呼んでくれてるのは、分かったよ。

アカリが一生懸命、俺の為に”ぱぱ”ってヒナタに教えてくれていたのを思い出す。
任務で何日も家を空ける俺をヒナタが忘れない様に、ベビーベッドに俺の写真貼って、きっと毎日毎日”ぱぱ”って教えてたんだ。


振り返らなくても、分かる。
ヒナタは今、俺の背中に向かって必死に小さな手を伸ばして、抱っこを待ってる。

いつもみたいに、わざと倒れ込むように向かってきて、俺が慌てて受け止めるのを…期待して待ってるんだろうな。
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