夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「っ……。」
胸が、締め付けられる。
っ…ごめん。
ごめんな…ヒナ……ッ。
でも、今はまだヒナタをこの手に抱けない。
だって俺は、父親失格なのだから…。
アカリがさらわれて、それだけで頭がいっぱいになって…。自分を気遣ってくれる人達を傷付けたあげく、愛おしい筈の娘の安否さえ…今顔を見るまで、忘れていたんだ……。
今の俺には、ヒナタに”ぱぱ”と呼んでもらう資格なんて…ない。
天を仰いで、目を閉じて、込み上げそうだった熱い想いを瞼の奥に封じる。
「……ごめん。」
誰にも聞こえない声で小さく呟いて、俺はその駆け出した。
”待って”、”行かないで”…。
背後に響く、まるでそう叫んでいるように聴こえた愛娘の泣き声。
初めて聴く、その火が付いたような泣き声は…。
暫くしても、俺の鼓膜に張り付いていた。
……
………。