夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「アラン様、失礼致します。連れて参りました。」
黒スーツの男がある部屋の前で立ち止まり、ノックしながら声をかけると、「入れ。」と短く答える嫌な響きの声が中から聞こえた。
その声に、多少収まっていた激しい感情がまたジワジワと溢れてくる。
開けられた扉を潜って部屋の中へ入ると、奥の椅子に座り机に頬杖を着いたアランが、不敵な笑みを浮かべて俺を見ていた。
「ずいぶん早かったな。」
「アカリは何処だッ…?!」
案内係りの黒スーツの男が下がり、部屋の扉がバタンッと閉まったと同時に発した俺達の言葉が重なる。
本当はすぐにでもアランに飛び掛かりたいが、今はアカリの安否確認が優先。
気持ちを抑えながら一定の距離を保って睨み付けていると、奴はフッと笑い俺に向かって手を差し出した。
「…まあ、そう焦るな。
まずは仕事の話をしよう?全てはそれからだ。」
差し出されたアランの手が、”依頼書をよこせ”と動く。