夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……では。
また今日から働いてもらおうか、マオ?」
契約書に変わった依頼書を満足気に手に取って、アランが笑った。
”マオ”、そう呼ばれた瞬間。
これまで溢れていた様々な感情が、嘘みたいに消えて行く。
……。
ああ、そっか…。
これで、いいんだよね?
ボクガコウシテタラ、スベテガ、オサマル…。
「…はい。
必ずや御期待に応えてみせます。アラン様。」
胸に片手を当てて、俺は軽く頭を下げて、依頼者に従う。
こんな状況でも、いつもみたいに夢の配達人としてのスイッチが入る。
……。
いや、違うか…。
多分、これが生まれながらに俺に与えられた役割。
何も望まず、自我を捨てて、その状況にあった生き方を…すればいい。
そしたら誰も傷付けず、もう誰も悲しまない。
俺が全て引き受けて、空に持って行こうと思った。
……
………。