夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

電気が付いて明るくなった部屋。
眩しくて、少し顔をしかめる私の目の前に居たのは…。


「…おや、お目覚めですか?アカリ様。」

私をここへ連れてきた張本人のアラン様。
私を見て、口角を上げて笑ってる。


「っ……。」

話したいと思ってた。
アラン様に色々聞きたい事があって、会いたいと思っていた筈なのに…。
長身で、体格のいいアラン様を目の前したら、私の身体が連れ去られた時の事を思い出したように震える。

笑っていない、威圧感の込もった瞳に見つめられて恐怖で動けない。


っ…情けない。
私は、ヴァロンの奥さんなのに……。

守られているばかりの自分に嫌気がさして、俯いて拳を握り締めていると…。


「丁度良かった。…おい、マオ!入れ。」

アラン様がそう言って、”マオ”という人物を部屋に招き入れた。

その名前に、私は思わず「え?」と心の中で呟いて…。顔を上げると、その人を見た。
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