夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

私の瞳に映るのは…。
アラン様と同じ黒に近い灰色の髪と瞳に、黒縁の眼鏡を掛けた、長身の男性。

…でも。
アラン様とは全く違う穏やかな雰囲気を纏った、男性。


「……。ヴァ、ロン?」

「っ……アカ、リ。」

確かめるように名前を呼ぶと、彼は控え目に私の名前を呼び返してくれた。
どんなに姿を変えていても間違える筈のない、愛おしい人。


「っ…ヴァロン!」

迷いなんてない。
その場を駆け出して、目の前のヴァロンに飛び付いた。

会いたかった。
その気持ちを表すようにギュッとしがみ付く私を、包むように抱き返しながら、彼がそっと後頭部を優しく撫でてくれる。

暖かい腕の中、優しい大きな手。さっきまでの恐怖が嘘みたいに薄れて、安心感が広がっていく。


「…暫く、二人きりにしてやる。」

アラン様のそんな言葉が聞こえたと思うと、バタンッと扉が閉まる音がした。
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