夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「その言葉通りです。
お父様の会社が来年度、貴方様との契約を存続する事はありません。」
私は普段通り、微笑んでみせる。
今までそうしてきた様に、父の会社の取引先や客人の人間を持て成す時と同じ様ににっこり笑って…。無邪気な令嬢の姿のまま、伝える。
すると、暫くの沈黙の後。
アラン様はフッと笑って言った。
「……何を言い出すのかと思えば。
貴女はなかなか面白い事をおっしゃる。」
「そうですか?
だって、わたくしが契約を結びたいと思ったのは…。貴方ではなく、マオ様なんですもの。」
アラン様の言葉に私がそう返事を返すと、彼は席を立ち、私の背後に来るとソファーの背もたれに両手を付いて前屈みになって言葉を続ける。
「そんなに、マオがお好きですか?」
「…ええ。
貴方様より、ずっとずっと素敵な方でした。」
ソファーを立ち上がり、振り返ってアラン様を見ると…。口角は上がっているのに、明らかに笑っていない瞳で私を睨み付けていた。