夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
……。
静かな部屋。
ヴァロンと二人きりの空間に、身体の震えも次第に治まっていった。
「っ…アカリッ……良かった。
どこも、怪我とかしてないかっ…?」
……。怖い思いさせて、ごめんな。」
ヴァロンに囁くように小さな声で尋ねられて、私は腕の中で必死に頷いたり、首を横に振っていた。
助けに、来てくれたんだ。
もう何も怖くない。ヴァロンが居てくれたら、それだけで私の中に勇気が湧いてくる。
「…平気。
私の方こそ、ごめんなさいっ…。」
いつも守られてばかりで、ヴァロンにも、きっとみんなにも心配をかけた。
言いたい事や話したい事がたくさんあるけど、ヴァロンの顔を見たら胸がいっぱいで…。何から口にしていいのか分からない。
とりあえず、早くここを出て一緒に港街に戻りたいと思った。
”もう大丈夫、一緒に帰ろう。”
そう、彼が言ってくれると思ってた。
……けど。
ヴァロンは私の両肩を掴んで少し身体を離すと、視線を合わせず俯いて言った。
「……もう少しだけ、辛抱しててくれ。
必ずお前を、港街へ帰すから……。」
「!……え?」
予想外の言葉に、私は耳を疑った。