夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……ちゃんと、契約したから。
絶対にアカリには手を出さないって…。俺が任務を果たしたら、帰れるから…。」
「……。」
何を、言ってるの?
ザワッと震える心の中に、思わず浮かんだ問い掛け。
だって、おかしい。
もう少し辛抱するのが、嫌なんじゃない。
ヴァロンを信じて待つ事が心配なんじゃない。
「大人しく、待ってて?
アカリの事は、何があっても護るから…。」
そう言って…。
俯いていた顔を上げて、微笑むヴァロンを見た瞬間。
今までに感じた事のない不安が…。
私の胸を過った。
……。
希望も絶望も、ないような…。
全てを諦めているような、ヴァロンの瞳。
子供のように澄んでいるのに、曇りも濁りもないのに…。
その先の未来を映さず、今にも粉々に砕けそうな心の表れのようで…。
目の前のヴァロンは、以前よりも更に孤独に見えた。