夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……っ。
…何で、泣いてるの……?」
「!……え?」
思わず私の口から漏れた問い掛けに、ヴァロンがビクッと揺れて、一瞬戸惑って…。
すぐにまた、微笑んだ。
「泣いてないよ。」
彼が、笑顔で私に言う。
私には、すぐに分かるのに…。
傷付いて、ボロボロの自分を隠して、微笑んでる。
”その子は、色素の薄い自分の髪を泥水で必死に黒くしようとしていました。
そうすれば、母親がきっと喜ぶのだと…。
父親のようになれば、きっと微笑ってくれると…信じていたんでしょうね。”
本当の自分を否定されるのが怖くて、自我を封じて…。仮面を被った、ピエロを演じてる。
「っ……嘘吐き。」
ヴァロンの冷たく冷え切った手を自分の頬に当てて、私は言った。
……
………。