夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「用件は以上です。失礼致しますわ。」
これ以上話す事はない、と微笑みながら一礼し、退室しようとした私にアラン様が言う。
「…お父上様が御息女の我が儘に左右される会社の社長とは、驚きですね。」
鼻で笑った、まるで人を見下した様な態度。
「そんな方が社長とは、世も末だ。
それに、こんな大事な話をいくら娘が可愛いからと言って任せるとは…。親馬鹿にも程があります。」
その通り。
世間一般的に見れば、娘可愛さに契約を結んだり破棄したりする親馬鹿な父親。
これが世間に知れたら、叩かれるのはまず父だわ。
でもね…。
「ハッキリ言って無礼です。
社長自らが出向いてくるのが礼儀と言うものでしょう。
この話は……。」
「…無礼は、そちらの方です。」
私はアラン様の言葉を遮り、見つめた。
さっきとは違う。
笑顔ではなく、私の”本当の顔”で。