夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

例え、リオン様がシャルマ様の跡を継がなくとも力になりたい。
その一心で、代々名家に務める為に培った執事としての力を使って…。私は何とか彼を見つけ出すことが出来たんだ。

……。

その時、初めてヴァロン様にもお会いした。

「見てよ、ディアス!可愛いだろう?
アンナさんにそっくりで、本当に美人なんだ。」

御自分の腕の中で、哺乳瓶から一生懸命ミルクを飲むヴァロン様を見て、リオン様はとても幸せそうに微笑っていた。


奥様であるアンナ様は、御自分の両親から愛情を注がれず育ったせいか、上手くヴァロン様に接する事が出来ない不器用な女性。
とても美しい人だったが、リオン様以外には笑顔を見せず、無愛想で無口で…。私から見たらお世辞にも可愛らしい女性ではなかった。

けれど…。そんなアンナ様に暖かく、穏やかに接しながら一緒に家事や育児を熟すリオン様。

優しく美しい彼の心が、私はやっぱり大好きで堪らなかった。
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