夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「…アラン様。
貴方様とは何度かお会いしておりますのに…。
未だにわたくしの正体に気付いてませんの?」
アラン様に詰め寄り、じっと見上げる。
私の言葉の意味にまだ気付いていない彼は顔をしかめていた。
やれやれ、と私は溜め息を吐くと自らの正体を告げる。
「…マオ様は、たった一度お会いしただけで気付きましたわ。
父の会社の跡取りが…。次期社長が、わたくしだという事に。」
「!?……。」
私の告白に、さすがにいつも余裕を見せているアラン様でも驚いた表情を見せた。
…そう。
三人の兄を持つ末の子供であり、女の私が、父の会社の跡取り。
社長令嬢という仮面を被った、次期社長。
それが私の本当の姿。
それを、マオ様は見破り…。
あの夜、私の元を訪れた。
……
………。