夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【夢の配達人寮/ディアスの部屋】

「…リオン様の想い、無駄には致しません。」

部屋に置いてある、鍵付きの机の引き出しを見て私は呟いた。
そこにはリオン様より託された”ある物”を、厳重に保管している。

いつか、ヴァロン様に渡してほしいと託された物。


…でも。
ヴァロン様が御自分の事を忘れ、今幸せに生きているなら渡さなくてもいいと…言われた物。

……。
私は迷っていた。

白金バッジの夢の配達人として活躍するヴァロン様は、隠れ家に居てもなかなか会う事が難しいお方。
その姿をお見掛けする事さえ稀だった。

……そして。
先日、やっと正面から顔を合わせられた時。
ヴァロン様は、私の事を忘れているようだった。

それに…。


「驚いてしまいますよね。
アラン様の婚約者だったアカリ様と、まさかヴァロン様が御結婚なさるとは…。」

心の中でリオン様に語り掛けながら、私は思わず微笑んだ。
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