夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

去年のクリスマスイブに、御家族で商店街に買い物に来ていたヴァロン様は本当に幸せそうで…。
御自分の憧れた家庭を築いたヴァロン様の笑顔は、かつてのリオン様にとてもよく似ていた。


”ヴァロンが幸せなら、今のままでいい。”
リオン様なら、きっとそう言うと思った。

……。
だが、それでは余りにも悲しすぎる。

ヴァロン様の奥深くに眠るリオン様との最後の記憶が、間違いである事…。
あの日、アンナ様とヴァロン様の元を去ったリオン様には理由があったのだと…。

誤解である事を、私は解きたかった。


そこで、私はある賭けに出た。
私の住所を書いた紙をヴァロン様に渡し、もしも彼が自らこの部屋を訪れて来てくれたら……。


「その時は…。貴方様の意向に背き、真実を告げる事を許して下さいね?リオン様。」

その日が来たら、私はヴァロン様に私が知る全てを語ろうと決めていた。
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