夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

【アラン別荘/アカリ監禁部屋】

「…御機嫌よう、アカリ様。」

「！……アラン、様。」

突然の私の訪問に、アカリ様は驚いたようにビクッと身体を揺らしながらベッドから起き上がった。

時刻は間も無くお昼。
アカリ様は服装を寝具ではなくこちらが用意した普段着に着替えていたが、テーブルに用意されていた朝食には手を付けていない。
おそらく、ずっとベッドに横になっていたのだろう。

これが、報告してきた部下が言葉を濁らせた訳だ。


「部下達に聞きましたよ。
ここへ来てから、あまり食事に手を付けていないとね。」

つつがなく事を進める為には、人質である彼女に何かあってはいけない。
私はテーブルの上の朝食をフォークで刺し、自らが食べてみせた。


「……ほら。
心配しなくとも、毒など入っていません。」

アカリ様にすすめる様に促すが、彼女は冴えない表情で首を横に振る。