夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「…疑ってる訳じゃ、ありません。
ただ単に食べたくないんです。…ご心配なく。」
「……。貴女が食べたくなくとも、食べてもらわねば我々が困るんですよ。」
大人しそうな見た目とは違って、強い瞳で私を見つめ返すアカリ様。
心の中で”この女!”と思いながらも、私は何とか溜め息を吐いて気持ちを抑えた。
「貴女は大切な人質。マオを動かす為に必要な餌だ。
…昼食はちゃんと全部食べてもらいますよ。」
「じゃあ、私の質問に答えて下さい!」
自分の用件だけ言って去ろうとした私の背中に、アカリ様が叫ぶ様に言った。
「ヴァロンが人殺し、なんてっ…。
何であんな事を言ったんですか?」
「……。
それが、事実だからだよ。」
深く話すつもりはなかった。
しかし、アカリ様は背を向けたままの私に言葉を続ける。