夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「っ…嘘。ヴァロンは絶対にそんな事をしない!きっと、何かの間違いです…!!」

絶対。
アカリ様の言葉に、私が振り返ると…。


「証拠はっ?ないんでしょう?
だったら、ちゃんと調べて下さい…!!」

そう言う彼女の瞳は真っ直ぐで、少しも揺らいではいない。
私に詰め寄り、誘拐してきた日の震えて怯えていた姿とは全く違っていた。

ヴァロンの事を信用し切っている。
そう伝わってくる想いが、私をイラつかせる。


「黙れッ…!!」

何故、アイツばかりッ…!!

そんな感情が溢れて思わず怒鳴る様に言い放つと、私はアカリ様の顎を片手でグッと掴んで見つめた。


「直接手を下してないにしても、アイツが殺したも同然だッ…!!
アイツがいなければっ…オレの母親は死なずにすんだんだッ!!」

こんな事を、言うつもりはなかった。
< 289 / 402 >

この作品をシェア

pagetop