夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
幼少期から父親の花嫁になる為にたくさんの習い事や厳しい教育を受け、父親に気に入られるように努力を注いできた。
美しく、賢い、女としても、妻としても魅力的な存在になれように…。
そんな母親は、父親の帰りが遅いとその度に錯乱して、騒いで、暴れて…。
情緒が不安定で、そうなるともう父親しか手が付けられなかった。
例え、周りがどんなに母親を褒め、認めてくれても効果などない。
”リオン様に愛されたい!”
母親の願いは、ただそれだけだったのだから…。
……
………。
そして…。
オレが9歳の時、母親は父親の書斎で自殺した。
父親の仕事机にあった、先の尖ったハサミで胸貫き…。たくさんの雑誌や新聞の切り抜きがバラまかれた空間の中で、涙を流しながら死んでいた。
この時、オレは初めて母親がずっと怯えていた”何か”の存在を悟った。