夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

母親が夏でも、ずっと一年中長袖だった意味も…。

母親の亡骸に触れて、手を握ると、その手首には数え切れない程の切り傷が刻まれていた。
古いものや、新しいもの…。
長いもの、深いもの…。たくさん…。

……。

母親の血に染まった、床に散らばった切り抜き。
それは、全て…。

”夢の配達人ヴァロン”の事が書かれた記事。


『最年少で白金バッジを取得した、天才!』

大きく書かれた見出しのその文字が、瞳と心に突き刺さる。


”母さんは、コイツのせいで死んだんだ。”

オレは、その日から奴を徹底的に調べた。


同時に、今まで以上に学業も、身体を鍛える事も熟してきた。

7歳の年の差がなんだ。
オレより早く生まれてきただけじゃないか!
オレだって負けない!
大人になったら、アイツより上に行くんだ…!!

そう自分の心と、母親に誓った。
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