夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【アラン別荘/アカリ監禁部屋】

「……父さんがいけないんだよ。
母さんがいるのに、野良猫にエサをあげに行っちゃうからさ……。」

私は、ククッと笑った。


だって、可笑しい。
娼婦の、年増女より、母さんのがよっぽど良い女だった。

あの女が産んだ子は、父さんには全く似ていない。
顔付きも、見た目も、母さんから父さんを奪ったあの女にそっくりで…。

オレの方がどう見ても、髪も瞳も父さんと一緒なんだ。
オレの方が、父さんの息子に相応しい。

……。

でも……。

去年、ヴァロンが私の元に長期任務にきた時の事を思い出す。

私とは違うやり方で、私がこれまで取れなかった仕事を取り…。簡単に人の心を掴んで、惹きつけていく……。

父さんの、才能を受け継いだのは…ヴァロン。


……ごめんね、母さん。
オレは、勝てなかった……。

祖父のシャルマも、ヴァロンに目を付けた。
もうすぐ、私の居場所は…。

何処にも、なくなるんだ。
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