夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

誰にも、愛してもらえず…。
もう、必要とも…されない。

約束を破ったから、母さんの元にもきっと逝けない。

……。

私が笑うのを止めたら、再びシンッとなる部屋の中。

さっきまで勢い良く問い詰めてきたアカリ様も、さすがに言葉を失っていると思えた。


「……フッ。逆恨みだと、思いたくば思うがいい。
だが、私の人生はアイツがいなければ……。」

「っ…思わないよッ…!」

振り返った私に、彼女が震えた声でそう言った。

目を、疑う。
瞳には、涙が溜まっていて…。
身体を震わせて、アカリ様は泣いていた。


何故…?
その様子に、私は思わず瞬きもせずに彼女を見つめる。


「逆恨み、なんて…思う訳ないっ…。
だって貴方は、自分のお母様の為にっ……ッ。」

言葉を詰まらせ、首を横に振るアカリ様の目から零れ落ちる涙。

綺麗な、涙。

そして…。
その姿が、とても美しくて……。

初めて、母親以外の女性の泣き顔に、胸を打たれた。
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