夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「っ……同情、か?」
けど…。
ヴァロンの妻であるコイツが、私の事を真に想っているなんて思えない。
私を油断させて逃げようと企んでいるのか、という感情が浮かび…。
私は、また笑ってアカリ様を見つめた。
同情。
そんなものはいらない、と言おうとした私に、アカリ様は涙を拭うと口を開く。
「ねぇっ、その話…ヴァロンは知ってるの?」
「……は?」
予想外の言葉に、私は呆気に取られた。
「ヴァロンは何も知らない…。貴方が弟だって事も、っ…そうなんでしょ?!」
「……。」
アカリ様の質問の意味が分からない。
ヴァロンが何も知らないから…。何だ?
何も知らないから赦してくれ、とでも言うのか?
私には、そんな捻くれた考えしか浮かばない。
しかし、その先のアカリ様の言葉は…。
今までの私の考えを覆す、言葉。