夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「わたくしの想い。
受け入れて下さるでしょう?」

にこっと微笑み、目を閉じて唇を重ねようとする。
こんな風にすれば、まず相手は誘いに乗ってくる。仮に戸惑ったとしても、大手企業の令嬢の私を邪険には出来ない。
彼もそうだと思った。

けれど…。


「失礼。
僕が貴女を訪れたのは、別の要件です。」

私の唇を自分の指先で遮りながら、マオ様は言った。


!っ……えっ///?

目を開けると…。
彼の美しく強い眼差しに射抜かれて、心臓がトクンッと跳ねる。
私を見つめるその表情は、戸惑った様子も、焦りも…。女に迫られて情けなく表情を緩ませる男の顔も、なかった。

ただ、真剣に…。私を見ていた。


「次期社長である貴女に、会いに来ました。」

「!……。」

マオ様のハッキリとした言葉に、私は驚きを隠せない。

一瞬、誤魔化そうとも思った。

…でも。
すぐに無理だと分かる。
彼の瞳に見つめられて、嘘など付けなかった。
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