夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
すると…。
「っ…おい!どうしたんだッ…?!」
「!っ……え?」
慌てた声を上げたアラン様が私をグイッと抱き上げて、ベッドに降ろすと自分の上着を脱いで羽織らせてくれた。
その行動に驚いてアラン様を見ると、さっきとは全く違う表情。
明らかに焦って、戸惑っている様子だ。
…何故?
思わず脳裏に浮かぶ疑問。
「ま、待ってろ!
すぐに医者を呼んでくるっ…!!」
「……。」
あっという間の出来事で、私は何も言えなかった。
私を部屋に残して、アラン様は廊下に出ると「誰か!医者を呼べ…!」と叫んでる。
必死な声。
……。
一人きりになった静かな空間で、私は自分に掛けられたアラン様の上着を握り締めた。
とても、暖かい。
その温もりは、まるでアラン様の隠された心を表しているように…。私には感じた。
……
………。