夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

すると…。


「っ…おい!どうしたんだッ…?!」

「!っ……え?」

慌てた声を上げたアラン様が私をグイッと抱き上げて、ベッドに降ろすと自分の上着を脱いで羽織らせてくれた。

その行動に驚いてアラン様を見ると、さっきとは全く違う表情。
明らかに焦って、戸惑っている様子だ。

…何故?
思わず脳裏に浮かぶ疑問。


「ま、待ってろ!
すぐに医者を呼んでくるっ…!!」

「……。」

あっという間の出来事で、私は何も言えなかった。
私を部屋に残して、アラン様は廊下に出ると「誰か!医者を呼べ…!」と叫んでる。

必死な声。

……。

一人きりになった静かな空間で、私は自分に掛けられたアラン様の上着を握り締めた。

とても、暖かい。

その温もりは、まるでアラン様の隠された心を表しているように…。私には感じた。

……
………。
< 307 / 402 >

この作品をシェア

pagetop