夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「……。
なぜ?…なぜ、わたくしが跡取りだと?」

私はマオ様から少し離れると、気を引き締め直して見つめる。
すると彼も姿勢を正して、私を見つめた。


「今日一日、社長と貴女様を見て分かりました。
社長のお言葉や行動に、他のご兄弟のどなた様より耳を傾け、的確な意見や態度を示しておられたのは、ミネア様でした。」

それは、社長令嬢でありながらいつも身近でお父様の仕事を見てきた私の些細な行動。


「ちょっとした事ですが、普段からお父上様の仕事を見て、理解なさっていなければ出来ない事。
兄上様達より聡明な貴女を、あれだけの企業を束ねるお父上様が、女性だからという理由で見逃す筈はありません。」

我が社でも、まだ限られた人物しか知らない跡取りの事。
マオ様は一瞬で、見抜いていた。

父の実力や目利き。
私が兄達よりもこの世界に長けている事も…。
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