夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

き、気持ち…悪い?
つわりの事、かな…?

質問の意味が分からずキョトンとしていると、アラン様は私の居るベッドの傍に来て、真剣な表情で口を開く。


「腹に、子が…。自分の身体の中に、別の人間がいる、って…どんな感じなんだ?」

「え?……。」

考えた事もなかった質問に、私はアラン様を見つめたまま呆然とした。

女性が子供を身籠もる。
すごく当たり前というか、普通の事だと思っていたから…。そんなに深く考えた事はなかったが…。

確かに、人間の中にもう一人人間がいる。という事は、実はとてもすごい事で不思議な事なのではないか、と思った。


私を見つめているアラン様の瞳。
子供みたいに純粋で…。
また、私にはヴァロンと被って見えてしまう。

勿論、私が愛しているのはヴァロンたった一人だけど…。
目の前のこの人を、何だか可愛いと思ってしまう自分がいた。
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