夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

本当は、とても優しい人。
お父様に愛されたくて、お母様の為に立派になろうとして、自分の居場所を創る為に必死に生きてきただけ…。


「っ…ヴァロンと、これ以上傷付け合わないで……。」

気付いたら、私はそう言って泣いていた。

だって、悲し過ぎる。
優しさが複雑に絡み合ってしまっただけ。
お互い、同じものを求めているのに解り合えないなんて…。


「お願いだから、ヴァロンとちゃんと話をっ…。」

何とかしてあげたい、と思う気持ちを訴えようとしたが…。アラン様は私から顔を逸らすと、ゆっくり手を離して立ち上がった。


「…お前は自分の事を心配した方がいい。」

「え?……。」

「子供の事がシャルマ様の耳に入れば厄介な事になる。
お前は自分の身体の事だけ考えていろ…。」

「……っ。」

アラン様は最後に「食事、ちゃんと取れよ。」と私に声を掛けて、部屋を出て行った。
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