夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「マ、マオ様っ?
大丈夫ですか?どこか具合でも悪いのではっ?」

席を立ち上がり、慌てて俺を支えるように心配してくれるミネア。
近くに居た店員も俺を心配して声を掛けながら、割れたグラスを片付け、新しい水を用意してくれた。

その様子に俺はハッと我に返り、笑顔を作る。


「す、すみませんっ…大丈夫です。
最近あまり寝ていなかったもので…。」

元々そんなに睡眠時間を取る方ではないが、アランの元に戻ってきてからは少しの時間も惜しくて特に削っていた。

もうすぐ3月3日。
アカリの誕生日であり、俺達の結婚記念日。
去年は何もしてやれなかった大切な日を、今年こそはなんとしても一緒に祝いたくて…。
その日までに一緒に、港街へ帰りたかったから…。

…あと少し。
あと少し、頑張ろう。


「御心配かけました。さ、食事の続きを……。」

何とか気持ちを持ち直して、そう口を開いた俺を、暖かい温もりが包む。
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