夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【翌日/豪邸】

指定された全ての契約を終え、任務完了。
そう報告しようとした俺を、アランがある場所に呼び出した。
そこは、アランの屋敷でも別荘でもない別の豪邸。

誰か身内の持ち物だろうか?
建物自体は少し古いが、何回が改装されているようで外装も内装も綺麗だ。


…だが。
この建物内に足を踏み入れた時から、何だか俺には”ある臭い”が気になった。

五感のうちで、嗅覚だけが異様に働いたように敏感になる。


「…どうぞ、こちらへ。」

そう言って俺を導く案内係と奥に進むにつれて、その”ある臭い”は強くなっていって…。
それと同時に動悸が高鳴る。


嫌な、気分だ。
呼吸が上手く吸えないような、胸が苦しいような感覚。

昔、嗅いだ事があるような気がする。
明らかに良くない思い出と共にありそうなその臭いに、不快感が高まった時。
案内係がある扉の前で止まり、ノックして「失礼致します。」と、声をかけると…。

ゆっくり、扉を開いた。
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