夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

いつか、きっと褒めてくれる。
優しい言葉をかけて、微笑ってくれる日が来る。
だって、母さんは笑顔を知らない訳じゃないから…。
その証拠に…。


「ただいま。アンナさん、ヴァロン。」

家の扉がチャッと開いたかと思うと、穏やかな口調で、優しい笑顔を見せながら、黒に近い灰色の髪と瞳の男性が帰ってきた。

その男性こそ、俺の父親のリオン。


「!…おかえりなさい、とうさ……。」

「リオ!おかえりなさいっ…!」

俺の言葉を遮って、母さんは嬉しそうに声を弾ませながら父さんに駆け寄ると抱き付く。

そして…。
幼い頃から習慣のように見ていても、目のやり場に困るくらいに口付けを交わし始め、母さんは父さんを”女の顔”で誘い始めるんだ。
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