夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「ヴァロンの髪の色も瞳の色も、父さんは大好きだよ。
左利きだって、すごく素敵な個性なんだ。何も恥じる事も悲しむ事もない。」

友達がいなくて、容姿を悪く言われた俺に、父さんはそう言ってくれた。


「悲しい時も笑顔でいれば、良い事がある。
人は鏡だから、笑顔でいれば相手も笑顔になってくれるんだよ?」

泣き虫だった俺に、父さんがそう言ってくれたから…。俺は強くいられた。

父さんが言ってくれる、不思議な言葉。
まるで魔法みたいに、いつも俺に勇気と希望をくれた。


「ヴァロン、今年の誕生日プレゼントは何が欲しい?」

「えっと、ね!とうさんがかいた、ほん!
また、いっぱいおはなしきかせてほしい!!」

「ははっ、ヴァロンは無欲だな。」

俺のプレゼントのリクエストに、父さんは笑いながら言った。

無欲なんかじゃない。
嘘なんかじゃない。
それが、俺の1番欲しいものだった。
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