夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「まだまだ苦労かけちゃうけど、よろしくね。
家族で力を合わせて、一緒に頑張ろう!」
父さんの輝く笑顔は、俺の光だった。
どんな暗闇の中でも、一瞬で照らしてくれる存在。
そんな父さんは俺の憧れ。
いつか、父さんのように夢を叶えられる立派な大人になりたかった。
「ヴァロン、お誕生日おめでとう!
はいっ、約束の本だよ!」
「わぁ〜、ありがとう!」
プレゼントされた本は、今まで渡されたどの絵本よりも分厚くて、ズシリと重みがあった。
包装された紙をワクワクしながら開けると、その本はこれまでの絵本とは違う、絵はあまりない、文章がたくさんの…小説。
「ちょっと難しいかも知れないけど、ヴァロンに読んでほしいんだ。
まだ続きがあって未完成だけど、これから少しずつ書いていくから楽しみにしてて?ねっ?」
「うんっ…!!」
父さんがくれた小説は、何だか自分が少し大人になった証みたいで嬉しかった。