夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
(3)
静まり返った家の中。
食卓に着いている俺と母さんを、複数の黒いスーツを着た男達が取り囲んでいた。
よく見ると、男達の手には拳銃。
まるで、現実ではないようなその光景に……。
恐怖よりも、戸惑いよりも、言葉すら出なくて……。ただ、呆然としていた。
そんな俺の鼻に届く、煙たい臭い。
むせ返りそうになる位に強い、タバコの臭い。
「ようやく見付けたぞ、リオン。
何処をほっつき歩いていたのかと思ったら、こんな場所で野良猫に餌をやっていたのか」
太くて、張りのある、低い声。
目を向けると……。
羽交い締めにされた父さんの前に、背の高い、体格の良い、灰色の髪をオールバックにした中年男性がタバコを蒸して立っていた。
……誰?
そう思って見ていたら、父さんが絞り出したような声で「父さん」って、その中年男性を呼んだ。
父さん。
父さんの、父さん……?
その男性は、俺の祖父のシャルマだった。