夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……生意気な瞳だ。
品のない泥棒雌猫が産んだ、薄汚い子猫。
なんだ、この毛色は……。私は認めんぞ、こんな雑種が我が家の血筋などッ!!」
当時はまだ決定的な親子鑑定なんてなかったから、夫婦の信頼と似ている事のみが、親子である証だった。
ガッターンッ……!!!
もの凄い力で振り放されたと思ったら、俺は食卓のテーブルに叩きつけられて、床に倒れた。
テーブルの上の食器やグラスが倒れて、落ちて、音を立てて次々と割れる。
まるで、今まで積み重ねてきたものが……。
崩れていくように……。
「……お前は騙されているんだ、リオン。
いい加減に目を覚ませ。
誰にでも媚びる娼婦の雌猫が産んだ子など、お前の子供ではない」
シャルマが、言葉を失った父さんに暗示をかけるかのように言う。
「よく見てみろ?
お前にはちっとも似ていないだろう?」
シャルマにそう言われた父さんと、床に倒れたまま顔を上げた俺の瞳が、重なる。