夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

父さんはそんな事思ったりしない。
きっと、否定してくれる。

……。
そう、思っていた。

のに……。


「……」

何も言わずに……。
父さんは揺れた瞳を、俺から目を逸らした。

……。

それだけ。
それだけ、なのに……心と身体が凍った。

動けなくて……。
俺は、ただその場に座り込んでた。


「……連れて行け」

シャルマのその命令に、父さんはもう抵抗する事もなく、黒スーツの男達に囲まれて連れて行かれる。

少しずつ遠くなっていく父さんの後ろ姿。
追いかけたいのに、さっきの沈黙の意味を知るのが怖くて……。俺は動けない。


「……リ、オ。……。
っ……リオッ!リオッ……待ってっ!!」

その声に、俺はようやくハッとした。

気付いたら、椅子から立ち上がった母さんが泣きながら慌てて……。父さんを追いかけようとしていた。
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