夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「っ……かあさんッ!!」
危ないっ……!!
って思った時には遅くて……。
母さんはシャルマに掴まれると、俺のすぐ近くに思いっきり突き飛ばされるように倒された。
「!……かあさん!
かあさん、だいじょうぶっ?!」
床に倒れ込む母さんを、俺は必死で支えながら呼びかけた。
苦しそうに、お腹を押さえて、うずくまるように身を縮ませて震える母さん。
そのすぐ真下の床には……。
今まで見た事もない、おびただしい量の血が、みるみるうちに……広がっていった。
幼い俺には、それが何を意味する事までは分からなかったが……。
母さんに大変な事が起こっている事だけは理解出来て、無我夢中で叫んだ。
でも……。
「っ……たすけてッ!
おねがいっ!おいしゃさんをよんでッ?!
かあさんをたすけてよッ……!!」
「……。用はすんだ。帰るぞ」
シャルマは、顔色一つ変えずに……。
ぐちゃぐちゃにしたその場に俺達を残して、去って行った。
……
…………。