夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
けど、弱音は吐かない。頑張るって決めた。
信じていれば、笑顔でいれば、いつか報われる。
そう、教えてくれた父さん。
優しい父さんが、俺と母さんを見捨てる筈がない。
だから帰って来てくれるその日まで、俺が母さんを守って支えていくんだと自分に言い聞かせた。
母さんが勉強を強制する事もなくなったけど、俺は自主的に問題集を広げて毎日欠かさず熟した。
文字もたくさん勉強して、父さんが誕生日にくれた小説を少しずつ読み進めた。
その小説の主人公の名前は、ヴァロン。
俺と同じ名前の主人公が活躍するその物語を読んだら、分かる。
父さんが、どれだけ俺を愛してくれているか…。
だから、寂しくなんかない。
悲しくも、辛くもない。
大丈夫、信じて待てる。
希望を捨てずに、毎日を必死に生きていた。
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