夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【更に一ヶ月後/自宅】

ある晩。
いつものように食卓の席に着き、テーブルの上に本を広げて読書をしていた時だ。

少し眠気が襲ってきて、ウトウトとしていた俺の耳に……。ガチャッと、玄関の扉が開く音が聞こえた。


「!……だれ?」

ハッとして視線を向けると……。

そこに居たのは……。
黒に近い灰色の髪の、男性。
俯いていて、表情はよく分からないけど、間違える筈のない姿だった。


「……とう、さん?」

半信半疑で名前を呼んで、椅子から降りようとした瞬間。


「っ……リオッ!!」

いつの間にか起きて来ていた母さんが、俺の横を駆け抜けて、入り口付近に佇んでいる父さんに飛び付いた。

二ヶ月位前には当たり前だったその光景。
帰宅した父さんに母さんが抱き付いて、そして……。


「っ……アンナさんッ」

父さんは母さんの名前を呼んで愛おしそうに抱き上げると、二人で奥の寝室に消えて行った。
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