夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「とうさんっ?
ねぇ、どこっ……いくの?おしごとっ?おしごとに、いっちゃうのッ?!」
震える声をなんとか絞り出して、俺は父さんを見上げながら尋ねた。
でも、父さんは何も答えてくれない。
俺の方を見てもくれない。
……なんで?
ねぇ、なんでっ?!
怖くて言えない想いが、ポロポロと涙になってこぼれ落ちる。
それでも必死に、俺は笑顔で父さんに語りかけた。
「ぼ、ぼくね!これっ……よんだよ!
とうさんがくれた、ほん!」
「……」
「つづき、よみたい!
っ……あるん、でしょ?ねぇっ、とうさんっ!」
「……うるさいな」
ボソッと、微かに聞こえた父さんの声。
それは、優しい父さんの口から初めて聞く言葉だった。
”すごい!天才だな、ヴァロンは!”
って、言葉は……もう聴けなかった。
優しい笑顔はなくて、冷めた表情が俺を見降ろす。