夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

暖かく、頭を包むように撫でてくれた大好きな手が……。
俺が、持っていた本を奪って……。


「……続きなんて、ある訳ないだろ?」

父さんはそう言って……。
本を床に、投げ捨てた。

部屋に響いた、バンッ!って本が床に叩きつけられた音が……。
哀しく響いて……。

それと同時に……。


「幸せな夢の話は、もうおしまいなんだよッ……」

何かが、壊れる音がした。

いつも俺を癒してくれた夢の言葉が、一瞬で終わりを告げて崩れていった。

……。

でも、おかしい。
すごく悲しいのに、もう涙はでなかった。

涙の代わりに、俺から溢れたのは……。


「見た目も、利き手も……。
お前が、僕に似ていたら良かったのにっ」

苦笑いしながら、悔しそうに呟いた父さん。

そんな父さんに……。
俺は、微笑ったんだ。
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